名古屋市へ企業進出することを狙った補助金事業に、本社機能等立地促進補助金があります。
これは名古屋市に企業が移転する際に使える補助金です。
施設の賃貸借料や、不動産の取得費、機器類、什器類、移転に係る運搬費・事務経費などの支援が受けられます。
最大10億円の補助金が支給されるというので、なかなかインパクトが強いです。
ただし、補助額上限の10億円の条件は、
対象が東京23区から本社機能を移転する企業で、かつ、オフィス・工場が賃貸ではなく、自己所有である場合に限ります。
では、詳細をもう少し掘り下げてみましょう。
【補助される費用は?】
この補助金は、パターンが大きく4つに分けられています。
移転元が東京23区か、名古屋へ移転したあとの本社は賃貸か自己所有か、というのがポイントです。
① 東京23区からの移転で賃貸型
② 東京23区からの移転で所有型
③ その他の地域からの移転で賃貸型
④ その他の地域からの移転で所有型
「その他の地域からの移転」には愛知県、岐阜県、三重県からの移転は含まれないようです。
それぞれの補助額の上限と、補助率
下は補助額上限と補助率についてです。
補助の対象となる経費は貸借料や、建物工事費及び取得費などの「種別経費」と、その他の対象経費である「共通経費」があります。
① 東京23区からの移転で賃貸型
■最大補助額1億円
■補助率:種別経費50%、共通経費50%
② 東京23区からの移転で所有型
■最大補助金額10億円
■補助率:種別経費12%、共通経費50%
③ その他の地域からの移転で賃貸型
■最大補助金額5千万円
■補助率:種別経費50%、共通経費20%
④ その他の地域からの移転で所有型
■最大補助金額5億円
■補助率:種別経費10%、共通経費20%
種別経費は所有型になると、額が大きくなるので、補助率が下がっています。
東京23区からの移転は、優遇されるようです。
補助してもらえる費用
前述で少し触れました「種別経費」と「共通経費」があります。
種別経費は建物賃借料、建物建設工事費、建物取得費です。
共通経費については、機械設備、什器備品購入費、移転に係る運搬費、その他移転に係る事務経費となっています。
【申請条件は?】
本社機能を名古屋市に移転することが基本条件
気になる申請の条件ですが、まず1番のポイントは名古屋市に移転する施設が「本社機能」を有することです。
本社機能とは、「企業全体を統括する意思決定機関」もしくは、「全社的な業務を担当する部署」または、「重要な役割を担う研究施設」に当たります。
それ以外では、
「施設面積」、「雇用」、「投資額」、「創業からの経過年数」、「その他の要件」があります。
・施設面積
施設面積は「東京23区からの移転」と、「その他の地域からの移転」で、また、大企業かそうでないかで、要件が分かれます。
東京23区からの移転:延べ床面積が100㎡以上(大企業は200㎡以上)
その他の地域からの移転:延べ床面積が200㎡以上(大企業は300㎡以上)
・雇用
3分の1以上が新たに名古屋市内に住民登録をする、または、3分の2以上が新たに愛知県内の自治体に住民登録をする、のどちらかを満たしている必要があります。
上記を満たしたうえで、
東京23区からの移転:正規常時雇用者15人以上(大企業は30人以上)
その他の地域からの移転:正規常時雇用者30人以上(大企業は50人以上)
・投資額
投資額には、オフィスが賃借の場合には要件がありません。
所有の場合は以下の通りです。
東京23区からの移転:施設に係る投資額が、 1億円以上(大企業は5億円以上)
その他の地域からの移転:1億円以上(大企業は5億円以上)
・創業からの経過年数
法人資格取得後、5年以上経っていることが条件となっています。
・その他の要件
- 本社機能の移転を公表すること
- 申請者が自ら単独で使用する施設であること
- 所有の場合は、申請者が自ら所有する施設であること
- 店舗や住居等を申請する施設内に有しないこと
- 名古屋市の他の補助制度の交付対象となっていないこと
- 事業認定申請日から3年以内に補助対象施設を開設すること
- 面積要件の延床面積は、補助対象施設の床面積のみで満たすこと
【公募の期間や、申し込みのタイミング・期限について】
補助金事業の公募期間は下記の通りです。
・公募開始日 2020/04/01
・公募終了日 2025/03/31
【申請期限(タイミング)】
オフィスが賃貸の場合は、「建物の賃貸借契約締結日の30日前まで」です。
自己所有のときは、「建築工事契約の締結日の30日前まで」または「建物の売買契約締結日の30日前まで」となっています。
【補助金の加算があります】
下記の条件を満たすと、補助金が加算されます。
【東京23区からの移転】
正規常時雇用者が名古屋市に住民登録を移転すると、1人あたり100万円。
本店登記を名古屋市に移転すると500万円。
【その他の地域からの移転】
正規常時雇用者が名古屋市に住民登録を移転すると、1人あたり50万円。
本店登記を名古屋市に移転すると300万円。
【名古屋市で企業進出に関係するその他の補助金】
ここで説明している補助金の名前は、
「本社機能等立地促進補助金」といいます。
その他にも名古屋市が推奨している、名古屋市へのビジネス進出に関する補助金を3つご紹介します。
企業進出促進補助金
1つ目は、企業進出促進補助金です。これは名古屋市に初めて進出する市外の企業に、事業所の賃借料を支援する補助金です。
産業立地強化促進補助金
2つ目は、産業立地強化促進補助金があります。これは名古屋市内で、施設を増設する際に経費の一部を助成するものです。
都市型産業研究施設開設補助金
最後に、都市型産業研究施設開設補助金です。
創業に関する補助金で、創業5年以内の事業者を対象としています。
対象の事業者が以下の施設に入居すると、当該年度の賃借料を減額・補助が受けられます。
【減額制度の適用施設】
名古屋ビジネスインキュベータ(nabi/金山)
名古屋ビジネスインキュベータ白金(nabi/白金)
サイエンス交流プラザインキュベータルーム
【補助制度の適用施設】
クリエイション・コア名古屋
名古屋医工連携インキュベータ
デザインラボ
なごのキャンパス
【名古屋のいいところ】
名古屋市に進出を考えている、または、興味があるという企業さまに、名古屋の魅力を少しだけ紹介したいと思います。
名古屋のいいところは、正直多すぎてお伝えしきれません。
「立地が良い」
関東、関西の中間に位置し、東京や大阪への交通の便が良くて行き来が活発です。
リニア中央新幹線が開通すればさらに発達することでしょう。
国際空港も整備されており、海外にも手軽にアクセスできます。
「生産業が盛ん」
木材産業、焼き物業から始まり、ものづくりの精神が受け継がれている土地です。
自動車産業は有名ですが、繊維業、ファインセラミックス、鉄道産業、航空産業が発展しています。
「資金調達」
愛知県のスタートアップ企業の資金調達額は、都道府県別にみて全国で3位です。
愛知県には魅力的な投資市場環境が有ります。
「暮らしやすさ」
首都圏と比較すると、月々の生活費が少なくなっています。
例えば、2人以上の世帯のうち勤労者世帯1世帯当たり1か月の支出は、東京都が36万円に対し、名古屋市が31万円となっています。(令和2年総務省統計局・家計調査)
まとめ
関東と関西の中間に位置する名古屋市。
ビジネスの拠点にするのに適した場所の1つです。本社の移転をするには資金が必要。
東京23区からの企業だけでなく、その他の地域からの移転企業も賃貸で最大5千万円、所有で最大5億円の支援があります。
名古屋にビジネス進出をお考えの方は、ぜひ参考にして下さい。