用途地域について
用途地域とは、都市計画や土地利用において、土地の利用目的や活用方法に応じて区分された地域のことを指します。
都市や自治体が土地利用を計画する際に、効果的な土地の活用や調整、公共の福祉や安全を確保するために、土地を異なる用途に分ける必要があります。
このような用途地域の設定は、都市計画法などの法律によって規定されています。
用途地域の指定によって、その場所でできることや建築できる建物の種類や大きさなどが制限されます。
たとえば、住宅地と指定されているところでは、大規模な工場を建てることはできないといった形です。
この用途地域は合計13種類に分類されていて、それぞれの場所で指定されます。
用途地域の指定をする目的
用途地域の設定にはいくつかの重要な目的があります。まず、都市や地域の有効な土地利用を促進することが挙げられます。
異なる用途地域を設定することで、住宅、商業、工業、農業などの施設を適切な場所に集約し、都市の効率的な機能を実現します。これにより、交通やインフラの負担を軽減し、都市全体の持続可能性を向上させます。
たとえば、工業団地には幅が広い何車線もある道路を作る必要がありますが、住宅団地ではそれほど必要はありません。地域を分けることで、その場所に必要なインフラをまとめられて効率的になるのです。
次に、公共の福祉や安全を確保するための規制があります。用途地域は、防災や減災の観点からも重要で、洪水や地震などの災害リスクを考慮して土地利用を制限します。
たとえば、住宅地のすぐそばに危険な薬品や物質を扱う施設が隣接していると、災害時に住民に大きな被害をもたらしてしまう可能性があります。そこで、明確に土地を分けることで、災害リスクを軽減できるのです。
また、公共施設や公園、自然保護地域の設定により、市民の憩いの場や緑地を提供し、豊かな環境を保全します。
さらに、都市の美観や景観の維持に寄与します。用途地域の区分けにより、建物の高さや外観、周囲の環境に配慮した都市計画を実現します。これによって、街並みの統一感や美しさを保ち、居住環境の質を向上させます。
これには騒音や振動といった問題を避けることも含まれます。歓楽街や工業地が住宅地のすぐそばにあると、住民の生活の質は下がってしまうことになります。
用途地域の分類
用途地域は住居系と商業系、そして工業系の3つに大きく分類されます。それぞれの中でさらに細かく設定があり、合計で13の用途地域が設けられています。
住居系では、以下の種類があります。
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・田園住居地域
・準住居地域
商業系では以下の指定があります。
・近隣商業地域
・商業地域
工業系では次の分類となります。
・準工業地域
・工業地域
・工業専用地域
最も細かい分類は住居系で、住居の階数や地域内に建てられる店舗や施設の種類などが、それぞれで指定されています。また、店舗の中でもパチンコ店といったお店を建てられるかという制限も変わってきます。
そのため、土地や住居を購入する際には、どんな地域設定になっているかを知ると、近隣にあるお店や施設の種類を想像しやすくなります。
商業地域は事業内容による制限がメインです。たとえば、近隣商業地域ではナイトクラブなどの風営法に関係するような店舗は認められません。
また、小規模の工場は建設できるのですが、危険性があるとか騒音が大きい作業が伴う工場の建設は許可されません。
あくまでも、近隣住民に対して一般的なサービスや物品を提供するお店を置く地域というわけです。
工業地域においてはホテルや病院、学校などは建てられないのですが、住宅やお店を建てることは可能です。
工業専用地域になると、基本的に工場以外の建設はできないことになります。どちらも、工場の種類や規模については制限はありません。