1:日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫とは、日本の公的金融機関の一つで、中小企業や地域の経済振興を支援することを目的としています。株式による経営がなされていますが、その株式は100パーセント政府が保有しています。
「株式会社日本政策金融公庫法」という法律に基づいて設立や運営がなされています。
民間の銀行や信用金庫といった金融機関を補完する働きをします。
特に事業を行う人もしくは企業を助けることを重視していて、融資を必要としている人の資金調達の手段となることを目指しています。というのも、銀行などの一般的な金融機関としては、信用状況などの理由で融資をすることに消極的になってしまう事業主がいるからです。たとえば、起業したばかりで信用能力が低いといったケースです。
こうした融資をしづらい相手に対して、政策金融公庫融資はより柔軟な見方で融資の決定をしているのです。
2:政策金融公庫融資の事業について
政策金融公庫融資は、主に3つの事業に分類されます。
この分類は、主に対象となる事業主の種類によって分けられています。どのような形で分類され、実際にどのような融資がなされているのかをチェックしてみましょう。
2-1:国民生活事業
国民生活事業という融資事業は、広く国民に開かれた融資を行います。
具体的には、個人向けの教育ローンを提供して、家庭の子どもたちが十分な教育を受けられるように経済面でのサポートをするというものがあります。
さらに、国民生活事業には、事業主向けの融資もあります。といっても、個人事業主や小規模事業者に限定されたものです。具体的には、従業員の数が9人以下の事業者を対象としたもので、平均的な融資残高が1,000万円程度の小口限定となっています。
こうした融資は低金利であることと、無担保融資の割合が高いというのが大きな特徴です。
実際に、無担保融資は90パーセントとなっていて、担保提供が難しい小規模経営者にとって頼りがいのある融資策です。
2-2:中小企業事業
また、中小企業の資金調達を支援するため、長期・低利率の融資を提供しています。
設備投資や新規事業展開などの際に、必要な資金を政策金融公庫から融資を受けることができます。
これにより、銀行などの民間金融機関では難しい場合でも、資金を調達することが可能となります。特にこの事業は長期融資という点を重視していて、企業が安定して資金を抱えることで、健全な財務フローを作り出せるようにする目的があります。
2-3:農林水産事業
農林水産関連の事業主に限定した支援事業です。
この事業を通して、国内における安定的な食料供給ができる体制を作ることが目的となっています。
農林水産業は災害やその年の天候などによって、どうしても経営が不安定になりがちなので、長期的かつ安定した資金調達の道を確保するために、長期的な融資を行っています。
また、事業を多方面に広げたり、経営規模を大きくしたりする事業主に対しては、経営支援も実施しています。
3:利用の流れ
事業者が政策金融公庫へ融資を申し込む場合、まず公式ウェブサイトや地域の支店を通じて相談や詳しい条件についての確認をします。
その上で、それぞれの事業について所定の提出書類を準備して、申し込みをします。
その後、申し込まれた融資の内容や事業計画などを政策金融公庫が審査します。
審査では、返済能力や事業のリスク評価などが行われ、融資の可否や条件が決定されます。審査に合格した場合、政策金融公庫と事業者との間で融資契約が締結されます。融資の金利や返済スケジュール、担保などの条件を契約時に明確にして書面を交わします。
契約が成立した後、政策金融公庫は事業者に必要な資金を入金します。この資金は契約で定めた事業の実施や投資に使用されます。同時に、返済スケジュールに従って返済を行っていくことになります。
大まかな流れを要約すると次の通りです。
電話・店舗・インターネットを介して相談を開始。その後、面談➡融資➡返済の流れとなります。
※融資制度によって、手続き、添付、書類が違ってきます。審査機関は2週間程度となることが多いようです。
4:併用できる制度はある?
4-1:日本政策金融公庫の事業
政策金融公庫において、融資とともに併用できる制度があります。下記のような制度です。
・新創業融資制度(無担保・無保証人)
・担保を不要とする融資(無担保)
・経営者保証免除特例制度(無保証人)
・創業支援貸付利率特例制度
・設備資金貸付利率特例制度
それぞれ制度を利用できる条件が異なってきますが、担保が不要であったり、保証人が不要となるケースがあります。
利率が違ってくる場合がありますので、窓口で自身に適したものがあるかどうかを相談するのがよいでしょう。
4-2:その他の公的機関
政策金融公庫の融資は、他の公的支援制度と併用することが可能です。
例えば、地方自治体が実施している補助金や助成金、国の機関が提供する支援制度などとの併用が可能です。ただし、併用する際には条件や規定を満たす必要がありますし、返済能力の審査に通らないといけません。
5:まずは問い合わせから
融資を希望するのであれば、まずは窓口で相談したり詳しい情報を集めたりしましょう。
問い合わせは公式ホームページや、各地にある支所の窓口などでおこなうことができます。