ショールーム型店舗という店舗形態について
常に製品やサービスを販売する現場というのは、商品の見せ方やお客様への対応の仕方などの点で常に変化を遂げています。昨今は、インターネットショッピングの普及によって、リアル店舗のあり方が問われるようになっています。
そのため、さまざまな店舗形態が考案されていますが、特に注目を集めているのが「ショールーム型店舗」というものです。
これは、「売らない店舗」とか「触って試せるお店」と呼ばれることもあるスタイルで、製品やサービスを実際に試せるスペースを指しています。家電であれば、実際にそれぞれの製品を動かして使えるようになっていますし、OA機器であれば印刷したり送信したりして動作環境をチェックできるようにしています。
その場では売ることを目標とせず、あくまでも消費者に使ってもらい使い勝手の良さや、自分たちのニーズに合っているかを確かめてもらうのが目的となっています。
ショールーム型店舗にすることのメリット
ショールーム型店舗を作ることのメリットとしては、オンライン販売に対抗できる、もしくはオンライン販売を後押しできるという点が大きいです。
ネットショッピングは、リアル店舗よりも気軽で多くの場合安く購入できるという利点があります。しかし、購入する前に実際に手に取って確かめられないので、不安感が付きまといます。
そこで、ショールーム型店舗があれば、まず触って体験できるということで、購入する意欲と決意を持たせるわけです。自社製品が別のオンライン販売をメインとするメーカーに負けている状態では、有効な対抗手段となります。
また、自社でオンライン販売をしているのであれば、触れるスペースも設けることで、購入者を増やせるというメリットも生まれるわけです。
また、顧客満足度を高めてブランディングに役立てられるというメリットも大きなものです。製品の価値を知ってもらうためのプロセスを提供することで、ブランドのファンを作り上げることができます。
また、製品販売のために丁寧な対応をしてくれるということを理解してもらい、より良い印象を持ってもらえるようになります。さらに、ショールーム型店舗では、お客様と直接触れ合える機会が増えます。
良い点も悪い点も、実際に試した方から意見をもらい製品開発やアフターフォローにフィードバックできるのです。よりお客様との距離を縮めて、企業もしくはブランドそのものに愛着を持っていただく良い場となるわけです。
ショールーム型店舗の事例
ショールーム型店舗は、BtoBでよく活用されます。
企業は高額な商品を大量に購入しますので、事前に確かめたいという気持ちが強いからです。
一つの事例としては、オフィス用複合機メーカーが立ち上げたショールーム型店舗を挙げることができます。
いくつかの異なるモデルを置くと共に、従来機もしくは古い型を用意して、それぞれの操作性や印刷速度などを比べられるようになっています。また、印刷によって生じる熱や使われる電力などをデモ表示して、環境問題に取り組んでいる姿勢をアピールするといった展示もしています。
百貨店もショールーム型店舗を設置することが多いです。シーズンごとにギフトに最適なアイテムを陳列して、手に取って確かめたり試食したりできるスペースを設けています。同じお店でも購入できますが、オンライン購入できるように販売ページの案内もしています。
新しい店舗形態の仕組みを理解して導入を
ショールーム型店舗は、新しいブランド価値を提供できる体験型の販売方式として注目されています。売り上げを高めるだけでなく、ブランディングにも役立つ取り組みですので、この仕組みを理解して導入を検討してみると良いでしょう。